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動自体に税制優遇措置が施されると共に、公益法人活動の基盤となる寄付行為についても優遇措置が講じられて、公益法事活動の円滑な運営が財政面から支えられている。
(2) 非登記社団、営利社団等
非登記社団(nicht ei?retrag?per Verein)とは、上記の社団登記を行わない社団で、法人格を有しない(民法第54条)、しかし、登記社団に準ずる定款を自ら規定し、理事会と会員総会を設置し、独立会計を実施して、一定の目的実現のために団体として活動している場合、その目的が公益性を帯びていれば、上記の公益性審査を受ける事が出来る13)。そして当該税務署の公益性審査を経て活動の公益性が認証されると、上記で登記社団に関して記した税制優遇に浴する事が出来る。つまり、社団登記の手続を経るほどの規模にない閉鎖的なグループが、非登記社団の組織条項と公益性条項を有する定款を定め、独立会計を設定して、当該税務署の公益性審査を満足しさえすれば、公益法人処遇を受ける事が可能となり、日本のように煩雑な手続を踏む必要がない点が、特徴的である。上記の社会福祉事業に当て嵌めてみると、自助福祉団体は、この非登記社団による公益法人処遇獲得の方式を用いている場合が多いようである。ただし、公益性審査と会計審査を当該税務署から受けねばならない事は、論を侯たない。
登記社団や非登記社団の場合、無償社会福祉や自助福祉のように、設立時から公益活動を目的とする場合が多いが、既存の営利社団が公益活動を志向する場合も、公益法人処遇を受ける事が出来る。その典型例が、株式会社(Aktiengesellschaft)や有限会社(Gesellschaftmit beschrankter Haftung:GmbH)による公益活動である一両者は、それぞれ株式会社法と有限会社法によって存立要件と法人としての権利義務等が規定されているが、こうした営利目的で設置される法人も、公益目的を追求する場合には、当該公益活動に関する定款と独立会計を設定する限り、公益性審査を申請する事ができ、審査を満足する場合、その公益活動の範囲内に限り、公益法人処遇を受ける事が出来る14)。営利社団による公益活動の場合、当該活動に関する会計が本来の営利事業と別個に設定されていれば、上述した4つの会計条の範壌区分が重要な役割を果たし、税制優遇措置をこうする事が容易となる。この制度は、営利社団によるメセナ活動やフィランソロフィーのばあいにも、応用可能であると思われる。
以上要約して、ドイツにおける公益法人制度は、少なくとも次の4点において、非常に簡素であると言い得る。第一に、公益性ある活動を目的として社団を結成する場合には、

 

 

 

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